YAMAPはこのたび、地図上で危険箇所などの注意喚起を行う「フィールドメモ」機能のカテゴリーに、「クマ情報」を新設しました。
クマを目撃した登山者は、その内容と場所をわかりやすく共有でき、その山域で登山を計画しているユーザーにとっても、クマの出没情報を地図上でひと目で把握できるようになります。
危険な兆候のあるクマ情報を共有
クマ(ヒグマ、ツキノワグマ)は本来、警戒心が強く、登山中に目撃することはまれとされています。
気をつけるべきは、荷物や食料を奪うなどして、人と食べ物の味を関連付けて学習して向かってきたり、人を恐れずに登山道に居座ったりするようになってしまった個体です。
そこでYAMAPは、事故を引き起こしかねないクマを登山者が目撃した場合に、次に来る人が遭遇を避けられるよう、フィールドメモ内に「クマ情報」カテゴリーを追加。わかりやすく情報を残せる仕組みをつくり、地図でひと目で直近のクマの情報が把握できるようにしました。
こうした人を恐れないようになったクマの情報をフィールドメモで見た方は、該当地域での登山を控え、別の山を検討する参考にしてください。
注意事項
クマと鉢合わせしてしまった場合には、自身の安全確保を最優先し、クマからゆっくりと走らずに離れてください。今回のアップデートは、撮影や遭遇を促す意図はありません。活動終了後の投稿に写真が必須である理由として、写真データによって目撃位置の特定を容易にするという意図があります。
フィールドメモとは
「フィールドメモ」は、地図上に表示されるサークル型アイコンで、山での活動中、YAMAPユーザーが登山道の危険箇所やクチコミなどの状況を投稿することで、地図上にメモが表示され、現地の最新情報を共有できる機能です。
「報告・注意」と「クチコミ・つぶやき」の2種類があります。それぞれにはサブカテゴリーがあり、「報告・注意」には今回の「クマ情報」のほか、「足元注意」や「通行止め」、「迷いやすい」などを選択して、これから登ろうとしているユーザーのために状況を記載して投稿できます。
これまでは、クマの目撃情報は「そのほか」で投稿されることが多く、地図上でひと目では、わかりにくいという課題がありました。
ご利用方法
フィールドメモの「クマ情報」を投稿する
①活動開始をタップ
②活動中にメモを投稿したい場所で「フィールドメモ」アイコンをタップ
③フィールドメモを投稿するの「報告・注意」を選択
④サブカテゴリで、「クマ情報」を選択
⑤クマの情報を記載する(まずは安全の確保を最優先してください)
⑥投稿ボタンを押す
使い方の詳細はYAMAPヘルプセンターでご確認ください
フィールドメモの使い方
活動終了後にフィールドメモを追加する
【開発背景】
国内では近年、街に出没したクマの人身事故や登山道での遭遇が目立つようになっています。YAMAPではこうした事態を憂慮し、YAMAP MAGAZINEでクマの生態や環境の変化、対策について学べる連載コンテンツ『クマとの共存』を専門家と連携しながら展開してきました。
YAMAPには活動日記で、クマの目撃情報を記録しているユーザーさんも多いですが、各地の事故の報道後には「クマの情報について、わかりやすくまとまった機能はないのか」という要望やお問い合わせが多くありました。
自然とIT技術を掛け合わせたサービスを展開する企業として、どのようなアプローチをすれば、人間とクマのお互いにとって不幸な遭遇を減らせるかは、開発陣のこの数年の課題でした。
2025年8月に北海道の羅臼岳で20代男性が亡くなった事故を受け、その議論を加速。「まずはできることから」と、フィールドメモの「クマ情報」カテゴリー追加という方法で実装を始めることになりました。
YAMAP CTO(最高技術責任者) 樋口 浩平
「クマの事故をまったくのゼロにできる機能ではありませんが、YAMAPユーザーのみなさんが、野生動物と適度な距離を保ちながら、日本の自然に親しむお手伝いができればと思います。繰り返しになりますが、安全を確保した上で、余裕があればメモを記載してください。クマ遭遇事故の予防のため、情報提供のご協力と、登山前の活用をお願いします」